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チタンの変色のうそ&ホント 空気の持つ酸化力VSチタン表面

空気にチタンを酸化させるほどの酸化力がありますか?

チタンに顔を近づけてチタンの表面をルーペでのぞいたことがありますか?

チタンには透明な酸化膜ができています。無色ですが、酸化膜がついています。常温で透明の膜を張るのがチタンで、よく目を凝らして見ると、透明ながら光源を七色に跳ね返すようなバラエティに富んだ反射を示します。これがチタンの特徴です。

金属の表面が酸化されるかされないかによって表面の色が変わる、これがチタンの変色だと仮定します。仮説を立て、説明できるかどうかをここで概述します。

金属と酸との対決です。酸が勝てば酸化力があるということ、金属が酸化されるということ。

お断りしておきますが、酸化と錆びを混同しないでください。錆びは材質的な劣化を指すことばです。酸化は化学変化のことです。

チタンの表面は空気に含まれる酸素が化学吸着するために、酸化被膜という二酸化チタンに覆われます。中身がTiで表面がTiO2です。組成はTiにOが吸着した金属です。

わたしたちが生きている空気のある世界でチタンを観る時、常に二酸化チタンを見ています。Tiを直接見ていません。すでに空気中に存在しているチタンにはもう二酸化チタンで覆われているからで、見た目チタンと思って見ているものはすべて二酸化チタンです。

空気中に暴露された実例

:この二酸化チタンは常温で空気中に20年放置してディスプレーされています。サンプルがこちらのチタン結婚指輪プロドットショールームに置いてあります。その展示されているチタンは20年前に制作されたサンプルですが、いまでもまったく変色していません

二酸化チタンがさらに酸化が進行しないかぎりチタン表面の色として認識されるカラーは変わりません。チタンが自発的に空気に暴露され続けて酸化が進むことはありません。チタンが変色してみえるかどうかはその光源によるものが多く、化学的に表面の変質に起因するものではありません。常温で空気に触れ続けて変色することはありません。被膜は透明なままです。

酸化力が勝って初めて酸化が進みますが、空気にも空気中の水分にも硫黄分にも銀とは違い、チタンの酸化を加速させる力はありません。酸化力は硫酸にも足りません。空気中に硫酸が蒸発した成分が漂っているような特殊な部屋で暴露してもチタンに変化は起きないですし、そのような部屋に人が入れませんので変色は起こりません。

カラーを発色させるには、チタンにエネルギーを加え、酸化膜を厚くさせる必要がありますが、常温で空気に触れていただけの状態で変色はしません。変色するイメージはシルバージュエリーから刷り込まれているケースがあるようです。シルバーは空気中の硫化水素によって黒っぽくなってしまうので、チタンも変色?と思う方がいらっしゃるようです。チタンはまちがって漂白剤(次亜塩素酸)に浸けてしまったとしても変色することはありません。

「自発的な化学変化の進行VS電気を与えて進行させる電気分解」

電位は負になるほど居心地が悪いから方向が決まる

チタンの反射する可視光の波長の関係